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JST STARTでの研究成果が「Cell Biomaterials」誌に掲載されました

「1分子計測リキッドバイオプシー」による膵臓がんの早期発見の実現に向けて
―膵臓がんに特異な血液中のタンパク質機能変化の自動計測を可能に―(リリース詳細PDF)

 東京大学・理化学研究所・日本医科大学の研究グループは、当社の創業に向けた科学技術振興機構 大学発新産業創出プログラム(JST START)において、自動計測系に適した1分子酵素活性計測系を用いて血液サンプル中の1分子レベルの酵素活性を網羅的に計測する方法論を開発し、Cell Biomaterials 誌に発表しました(詳細は上記リンク先PDFを参照)。

 1分子レベルの酵素活性計測技術は 1960 年代に最初の原理提案がなされ(参考文献1)、2000 年代に入ってから本邦の研究者らによる研究を通じてタンパク質の分子個性を解析する方法論として発展を遂げてきました(参考文献2)。2020 年代に入ってからは、本方法論を用いて多様なタンパク質を含む生体サンプル中に含まれる酵素を網羅的に解析して表現型や疾患に関わるプロテオフォーム注1レベルの機能変化を解析する single-molecule enzyme activity profiling(SEAP)注2の方法論が提案され、特に血液中の疾患関連酵素を高感度に検出することによる疾患診断の可能性が提唱されていました(参考文献3,4)。今回、計測のプロセスを自動化し,高い再現性をもって SEAP のデータ取得をおこなうことができるプラットフォームが確立されたことで、血液中の1分子酵素活性データの安定的な取得が可能となり、血液中の1分子レベルのタンパク質機能を検出することで疾患の発見、診断をおこなう「1分子計測リキッドバイオプシー注3」の実用化が大幅に加速することが期待されます(図1)。

図1:上:本研究で開発した蛍光プローブの構造、中:膵臓がん患者血液サンプル中の DPP4-FAPαの1分子酵素活性(赤い点が1分子の DPP4、緑色の点が1分子の FAPα、黄色い点が DPP4、FAPα 両者の活性を有する分子種)、下:計測データの解析結果。

【論文情報】

雑誌名:
Cell Biomaterials
題 名:
Development of single-molecule protease activity analysis platform to elucidate disease-related alterations of circulating proteoform signatures
著者名:
Shingo Sakamoto, Hideto Hiraide, Tadahaya Mizuno, Mayano Minoda, Norimichi Nagano, Misa Suzuki, Nozomi Iwakura, Ayumu Kashiro, Satoshi Nara, Chigusa Morizane, Susumu Hijioka, Kazufumi Honda, Yu Kagami, Rikiya Watanabe, Yasuteru Urano, and Toru Komatsu
DOI:

【参考文献】

  1. B. Rotman et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1961, 47, 1981-1991
  2. Y. Rondelez et al. Nat. Biotechnol. 2005, 23, 361-365.
  3. S. Sakamoto et al. Sci. Adv. 2020, 6, eaay0888.
  4. T. Komatsu et al. ACS Cent. Sci. 2025, 11, 1041-1051.

【用語解説】

  • 注1:プロテオフォームとは、同一遺伝子に由来するタンパク質が、翻訳後修飾や切断などにより異なる分子形態をとったものを指します。
  • 注2:single-molecule enzyme activity profiling(SEAP)とは、酵素活性を1分子レベルで網羅的に計測し、タンパク質機能の変化を解析する方法論です。
  • 注3:「1分子計測リキッドバイオプシー」とは、血液中のタンパク質機能を1分子レベルで計測し、疾患の発見・診断につなげる方法論です。